●吉田秀平先生(広島大学病院 総合内科・総合診療科)

自身は、CFMDの家庭医療後期研修を修了した直後の医師7年目の時に、CFMDリーダーシップトレーニングフェローを受講しました。現在は、医師13年目となり大学病院総合診療科で病棟医長をしています。受講していた当時から、充実した学びを得られていた実感はあったのですが、改めて振り返ってみると、あの時に勉強しておいてよかったなあというのが素直な感想です。

インストラクショナルデザインをきちっと当てはめて、ワークショップを行った経験は、指導医として研修医や学生にレクチャーをする時にダイレクトに効いています。シンプルなところで言うと、自分のスライドにあれもこれもと欲張って内容を詰め込むことが無くなりました。フレームワークを用いて、本当に伝えたいことに集中することで、余計なものを足さなくなりました。

また、経営に関しては、当時勤務していた診療所の決算書を分析したり、経営戦略を立てたりといった内容も経験しました。現在は、大学病院の経営に関わる立場ではないのですが、思わぬ形で役立っています。研修医が、忙しさや給与に漠然と不平不満がある時に、患者ごとの点数やスタッフの体制含めた固定費について話をしてみます。むしろ現状では、その研修医が経営的には貢献できていない可能性などについて伝えると、そういった不平不満は減り、場合によっては具体的な診療環境の質改善に話が向くこともあります。

最後に、今、一番頻用しているのがチームビルディングに関わるマネージメントスキルです。ありがたいことに2022年度、2023年度共に、専攻医が5名ずつもプログラムに加わってくれました。大学病院が基幹施設になっており、ほとんどの専攻医が一定期間、大学病院をローテーションします。その為、病棟診療を中心に如何に教育的なチーム感を醸成できるか、少しずつ色々な仕掛けをしています。サラリーマンやビジネスマンが、これらを学ぶのは、むしろ一般的な印象です。一方で、学ぶタイミングのある医師は稀だと思います。最近知ったのですが、自院では看護師も、これに類する研修が用意されていました。チームの中で医師だけがマネージメントの手法を知らず、オレ流で仕切って、実は周りから白い目で見られていた。なんてことにならないよう道標の存在を知っているのは大事なことだと感じています。

 

総じて、普通に臨床を行っていくだけでは学べないコンテンツを、本コースで学べたと思います。「リーダーになんかならないし、あってもまだ先のこと」とか「誰かに指導をするなんておこがましい」と考えている人も、気づけば医師年齢が上がり、好む好まざるに関わらず、何らかの形で立場も上になってきます。臨床で使う医学的知識以外の視点を持つことで、そんな時に見えてくる景色が変わってくると思います。自分のみならず、チームのパフォーマンスを上げるためにも、非常にオススメなコースです。